お疲れ様です。Loxinalです。
生きていたら必ず経験する痛みという感覚。
程度は人それぞれですが痛い経験をしたことがないって人はいないと思います。
様々な原因や種類のある痛みですが、今回は痛みについて知っておいて欲しいことをまとめてみました。
私も仕事柄、ほぼ毎日「痛い」という言葉を聞いてきています。
鎮痛剤を使えばその時は解決するかもしれませんが、根本的な解決に至っていない場合があります。
例えば、手術後で受傷部位の痛みとは別に創部トラブルがあった場合。
体の向きや位置が不適切で受傷部位に負担がかかっている状態。
そもそも鎮痛剤を使用しなくても解決する場合も多くありました。
あなたの痛みのトラブルに少しでも貢献できたらいいなと思い執筆していきます。
痛みは我慢するものではない

我慢できないほどの痛みが発生しているときは、その痛みを取り除くためにアクションを起こします。
しかし、我慢できるほどの痛みの場合はそのまま放っておくこともしばしばあるかと思います。
痛みは体の損傷や問題を警告する一つの反応であるため、容易に我慢したり無視するのはのちに大きな問題へ繋がる場合があります。
大袈裟な例えになりますが手術後を例に挙げると、十分な鎮痛がされていないとイレウスや呼吸器合併症になるリスクがあがります。
また、痛みとなる刺激がないのに痛みを感じる場合や、通常だと痛いと感じないようなことも痛く感じる場合があり、これは神経に問題(神経障害性疼痛)がある可能性があります。
身近な例だと、帯状疱疹のウイルスや糖尿病によって神経に障害をきたして感じる痛みがこの神経障害性疼痛にあたります。
どうして痛みを感じているのかに着目して、早めに原因を探っていくことが重要です。
痛みが痛みを呼ぶことがある

痛みを分類していくとまず初めに体性痛と内臓痛に分かれます。
前者はぶつけた、刺さった、擦った、捻った、折れたといった刺激による痛みです。
後者は文字通り、胃や腸などが伸展されたり痙攣したりした場合などに発生する痛みです。
その内臓痛ですが、時に皮膚の痛み(関連痛)も発生する場合があります。
細かい話をすると、痛みが発生するほどの何かしらのアクションを受けた内臓は、その内臓から出る神経を伝って「問題(痛み)発生」の情報を脊髄に送ります。
情報は脊髄を経由する際に神経を換えます。その後に大脳に伝わり、通常だと「内臓がアクションを受けて痛い」という知覚をします。
しかし、脊髄内の神経を換えるポイントで関係のない皮膚の神経も繋がっている場合があります。
そういった場合はアクションを受けた内臓だけではなく、関係のない皮膚からも情報を受けたと認識してしまい「(本当は内臓だけだが皮膚も)アクションを受けて痛い」という知覚をしてしまいます。
心筋梗塞で左肩や左上肢に痛みを生じるのも、この関連痛の一種です。
ネガティブは痛みを助長する

刺激や病気、異常が原因ではなく心因性のものにより痛みが増強する場合があります。
通常だったら気づかない、気にならない、体にも異常がないのにものすごく痛いといった心因性による痛みは、ネガティブな状態により痛みの感受性が上昇している可能性があります。
不安や恐怖、怒りや悲しみでも痛みは強くなるといわれており、そもそも痛みの発生によりそれらが誘発される場合もあります。
事故や手術の後だと、お金の心配、仕事の心配、体の心配といったり、精神的にも非常にネガティブになりやすい状況です。
そういった状態ではより痛みに過敏になっており、家族や友人、恋人など心の支えとなるキーパーソンの存在が、脱却へのカギとなる場合があります。
そのままネガティブな状態を放っておくと、不眠や疲労、倦怠感などにつながり、それらもまた不安を助長するため悪循環になってしまいます。
鎮痛剤で痛みはとれない

鎮痛剤で本来の痛みの原因を排除することはできないことが多いです。
どういうことかと言いますと、例えば骨折している方の痛みは骨折に由来しますし、ガンを患っている方の痛みはガンに由来します。
いずれも併発した別の要因で痛みが発生しているかもしれませんが。
根本的な痛みの原因を根絶しない限りは痛みは発生し続けているのです。
つまり、鎮痛剤とは一時的に、痛みの発生を調整しているのに過ぎません。
今回は私の名前の由来にもなっている、代表的な鎮痛剤のロキソニンとカロナールを例に説明していきます。
ロキソニン(NSAIDs)
ロキソニンはNSAIDs(エヌセイズ)といわれる非ステロイド抗炎症薬に分類されます。
細胞質内に存在するCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素に結びついて、痛みの閾値を下げる働きを持つPG(プロスタグランジン)の生産を抑制することにより、鎮痛効果を発揮します。
代表的な副作用に、胃腸障害があり、ロキソニンの処方の際は、一緒にテプレノンやレバミピドといった胃薬の処方もされることが多いです。
カロナール(アセトアミノフェン)
カロナールはAAP(アセトアミノフェン)という物質でできています。
上記のNSAIDsと比べると安全性が高いといわれています。
しかし、鎮痛の作用機序が明確になっておらず、中枢系に作用しているのではないかとされています。
冷やしても温めても鎮痛効果はある

腫れているときや痛いときは冷やすことで鎮静や鎮痛の効果があるとされていますが、温めた方が除痛の効果を得られるケースがあります。
いずれも知覚障害がある部位には、過度な高温や低温に気づけない可能性があるため施行時は注意が必要です。
①冷やした方がよい場面
冷やすことにより神経を鈍らせて鎮痛の効果を得ます。
また、血管は収縮し血液やリンパの循環はゆっくりになります。
患部に腫れや熱、痛みなどの炎症の兆候がある場合など冷やすと効果的です。
- 打撲、捻挫
- 頭痛
- 抜歯した際の痛み
②温めた方がよい場面
温めることにより血液やリンパの循環が促され、筋肉の緊張や関節のこわばりが軽減され鎮痛の効果を得ます。
血管は拡張するため出血がある部位は避けてください。
- 筋肉痛
- 肩こり
- 関節痛
最後に
理由もなく痛みが発生することはなく、必ず理由があります。
放っておいていい場合もありますが、そうではない時もあります。
時間がたっても改善しない、いつもと違う感じがすると感じたときはすぐに診察を受けてください。
また、あなたの周りで痛みを感じている人がいる場合は、体の傷だけでなく心の傷もある場合があります。
本人の意思や状況によると思いますが、話を聞いてあげるだけでも痛みを緩和することができる場合があります。
目に見えている情報だけではなく、目に見えない情報も鎮痛のカギになります
Loxinal
参考文献
・坂井建雄ほか(2013)「解剖生理学:人体の構造と機能①」医学書院.
・志自岐康子ほか編(2013)「基礎看護技術」メディカ出版.
・清水孝宏編(2019)「痛みのマネジメント」総合医学社.