傷の治癒に必要な3つのこと

お疲れ様です。Loxinalです。

いつもヘルメットを被って、ジャケットを着て、グローブをして、ブーツを履いて生活できるのなら傷とは無縁ですが、そうもいかないですよね。

紙を取るのに指を切った、ぶつけて皮がめくれた、日常生活の些細なことで簡単に体には傷ができてしまいます。

病院に行くほどではないけど、このまま放っておくのもなんだかな、と思うような傷は何度か経験したことかと思います。

今回は、傷の治癒過程に必要な要因、あってはならない要因を紹介していきます。

はじめに

今回の記事での傷とは、日常生活における軽微な傷を指します。

転んで擦りむいた、ペンなどが少し刺さった、包丁で少し切ってしまった、ぶつけて少し出血してしまった、といった程度の傷を対象としています。

以下に該当する場合は、病院での受診を強く推奨します。

  • 著しい出血や拍動性の出血(動脈性出血)がある
  • 痛みが激しく腫れが著明、動かすことも痛みのためできない
  • 痛み以外にしびれが発生している、しびれで動かしにくい
  • 傷が深く、筋や骨が見えている
  • 手術創にトラブルがおきている
  • 感電、火や高温な液体によるやけどがある
  • 小さくても動物に咬まれた傷がある

以上の項目に該当する場合は、傷の発生以外に体に問題が発生している可能性が考えられるため、病院へ行き医師の指示に従ってください。

もう一度言いますが、今回の記事での傷とは、日常生活における軽微な傷を指します。

上記の項目に該当せず、放っておいても自然治癒が見込める傷を対象としています。

何か変だな不安だなと感じた場合も病院での受診を推奨します。

傷は乾燥させない

傷が治る過程において乾燥している環境であると、治癒を遅らせてしまいます。

傷ができると血液以外に、透明もしくは薄い黄色の汁(浸出液)がでてくると思います。

これは傷の治癒を促進する細胞が含まれている汁です。

その汁(浸出液)のおかげで、周りの無傷な表皮から新しい表皮が伸びてきたり、必要な細胞が増殖したりします。

したがって、うかつに絆創膏やガーゼを当ててしまうと、汁(浸出液)を過剰に吸い込んでしまい、乾燥傾向な傷になって治癒に遅れが出る可能性があります。

かといって反対に、過剰な湿潤環境は、傷がむくんだり、傷の周りが膨らみ柔らかくなったりして、望ましい過程を辿れなくなります。

乾燥もさせず、余分に水分を与えることもしない、傷からでてきた汁(浸出液)を保持する環境こそが、傷の回復を促進させる要因となります。

消毒は治癒を遅らせる

一般の家庭で傷に対してどれほど消毒が行われているのかまではわかりません。

しかし、消毒とは細菌に有効なだけでなく自分の体の細胞にも効果を発揮してしまいます。

では、消毒はいつするのかという疑問が出ると思います。

この限りではないのですが、簡単に言うと傷ができる前に行うことが多いです。

例えば、針を刺す、切開するといった、あらかじめ傷ができる箇所に皮膚の常在菌が傷口に極力入り込まないような清潔な環境を作るために行います。

なので傷ができてから消毒したところで、感染予防のために細菌を消毒するだけでなく、傷を治すために働いている細胞も傷つけて治癒が遅れる可能性があります。

また、消毒にもいろいろな種類がありますが、消毒に耐性のついた状態の細菌もいます。

しかし、残念なことに我々の細胞には消毒に耐性のついたものがいません。

わかりやすく言うと、消毒とは人間の体の細胞には効果は絶対だけど、殺したい細菌には効果がないときもある、ということです。

かといって、消毒をしないと傷が感染するのではないかという疑問も出てくると思います。

次の項目で話しますが、傷の感染の原因は異物によるものが多いです。

細菌によっても感染することはありますが、大量の細菌が必要で通常の量の常在菌で感染することは稀です。

それでも傷の感染が起きるというのは他に要因があったためです。

傷が化膿しているときは細菌のせいで感染した、と考えるよりも目に見えていない異物(壊死した組織や古い細胞、人工物)を疑うべきです。

したがって、消毒しなかったから感染したほぼ間違っていると思ってください。

異物は取り除く

砂や土、傷の原因となった物が、傷に付着している場合は取り除きます。

流水で流して取れる場合はいいですが、トゲなど鋭利な物が刺さっている場合はピンセットなどで取り除いてください。

場合によっては目に見えていない小さな皮膚の壊死組織なども付着している場合もありますので、一度流水で傷を洗うことを推奨します。

そのまま放っておくと細菌の温床となり、感染を起こす場合があります。

また、ドレッシング材には壊死組織の融解を促すものもありますが、使用の判断が難しいと思いますので知識程度に留めておいてください。

もし、あまりに大きな異物が明らかに深く突き刺さっている場合は、動脈損傷筋や神経の損傷をしている場合がありますので、その場では抜かずにすぐに病院へ行ってください。

最後に

昔は消毒させないと感染するとか、傷は乾燥させるべきといった考えが主流でした。

しかし、実際にはその反対のことが正しいと証明されてきています。

医療の現場でも消毒は習慣化されているのをよく見ますが、実際は不必要なのではないかと思う場面が少なからずあります。

治療する側の人間が正しく見本を見せられていない現状ですから、一般の人に十分な知識が浸透していないのも仕方ないと思います。

そもそも放っておいても問題ないような傷に対して、あまり深く考える必要もないのかもしれません。

ですが、できるだけ早く治したい綺麗に治したいとお考えの方もいると思いますので、今回の記事が参考になれば幸いです。

診察を受けなかったケースほどケアが正しく行われているべきです

Loxinal

※以下は医療職者向けへの記事です。

特に外科にお勤めの方へ「これからの創傷治癒」という本は非常におすすめです。

経験年数は問わず、非医療職者へもわかりやすい内容となっています。

経験年数を問わないというのは、そもそも傷の治癒に対して間違った認識をしている現状が今も医療の現場に多く存在しているためです。

傷の症例を踏まえて、創傷治癒過程に必要、不必要なものは何か詳細に多く記載されているため、今一度再学習する機会になるかと思います。

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参考文献

・前川武雄編(2015)「ドレッシング材のすべて:皮膚科医による根拠に基づく選び方・使い方」秀潤社.

・日本褥瘡学会(2009)「褥瘡予防・管理ガイドライン」照林社.

・夏井睦(2013)「これからの創傷治癒」医学書院.

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